編集 TECHNICAL
例えば、自分が監督でドラマを制作するとします。
『ストーリー後半の重要なシーンを意味深に頭に持ってきてみてはどうだろうか?』
『印象的なエンディングが先に思いついた!!
最初に音楽をベースにエンディングから作ってしまい、後は部分部分で考えよう!』
このようなアイデアをノンリニア編集では即座に結果として観ることができるようになりました。
テープと違い、画や音の挿入も、消すのも一瞬です。
カットの移動や、編集作業で生じた空白の除去などを簡単に行えるため、より多くの時間をクリエイティブな作業に使えるようになりました。
また、テープでは編集を重ねるごとに画質の劣化が起こりますが、ノンリニア編集のデジタル環境では起こらないため、何度でも試行錯誤を行えるようになりました。
AVIDやファイナルカットなどのアプリケーションはオフライン編集においてはなくてはならない存在であり、従来のリニア編集の概念を根本的に変え、映像編集に革命が起きました。
撮影から作品完成までの大まかな流れと内容を簡単に説明します。
以上が一般的なTV番組ワークフローになります。
撮影時にどんな作風にするか、どんなワークフローで進めるか、アウトプットは何かによってカメラ選択、収録形式等を決定します。
撮影素材をHDDやサーバーへ取り込みます。
編集システムや納品に合わせたファイル形式にし、必要であれば変換が行われます。TSPビデオセンターではデータマネジメントによるオフラインからオンラインまで、無駄の無いスムーズなワークフローを提案します。
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構成、カットやディゾルブ、仮合成等々、音ももちろん編集のあらゆる技法を用いて物語を形にします。納品フォーマットに沿って尺にした後、次の作業へ向けて映像データや音ファイルを書き出し エディットリストとよばれるEDL(AAF,OMF,XML等)オンライン用編集データを用意。
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仕上げです。より高画質な映像素材に差し替え、CG合成や
エンドロールなどの文字情報を入れ、作品の完成度を高めていきます。
多種多様な映像表現があり、専門ソフト(エディティング、キーイング、2D/3D合成、VFX、カラコレ)を使い、それぞれの一長一短を理解した上で専門分野に分かれ役割担当を決定していきます。
カラーコレクション《カラーグレーディング》とも呼ばれ、明るさや色味を合わせることから、昼を夜にみせたり、フィルムで撮影されたような質感に変えたり、心情を色で表現したり、作品のもつ雰囲気を色で作り込んでいく。映画やドラマでは、ほぼ100%行われている作業です。
エディターは季節によって変わる景色や色、光彩などに常に関心をもち、理解した上でそれらを映像として表現します。またフィルムでいう現像前の状態で撮影が出来るフォーマットの普及や、それらをスタンダードに備えた4kの登場によりカラコレは必須になりつつあります。
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バラエティ番組で時に上下左右にたくさんの文字やワイプが入っているのを見た事があるかと思います。
ノンリニア編集では映像に何かしら手を加えた際、結果を見るためにレンダリングといわれる(画を一枚ずつ書き出す)計算が必要になります。多数のテロップやワイプをのせた状態では、このレンダリングに膨大な時間を費やしてしまうため、番組によってはこの工程はリアルタイムでテロップ入れが可能なリニア編集《テープ編集》にチェンジして行います。
→リニア編集について詳しくはこちら
完成した映像をクライアントや音効、MAなどが必要とするフォーマットに合わせ、ファイルやテープに書き出します。
素材音や効果音、音楽やナレーション等を収録しミキシングします。ここでも音に特化したいろいろなノンリニア編集機が使われ、完成した映像と音を合わせた作品が出来上がります。
多種多様な媒体に複製され、ディスクやメモリ、テープやファイル形式で納品されます。
大きなプロジェクトになると工程はさらに複雑化しますが、ノンリニアですべての作業を行うことが、ほぼ可能になってきています。
映像の表現方法を形にする機材やソフトは日々進化し続けています。
新たな技術にいち早く触れられる機会が多く、自分がやってみたい表現を可能にするツールを習得し、それらの長所短所を理解して組み合わせながら、プロとしてさまざまなアイデアを提案する。そのアイデアを形にするための体制を構築できる。そういったスキルが必要になります。そのためには、常に様々な事に興味を持つことが大切です。
収録から納品まですべてがファイルベースとなる4Kの登場で、VTR・テープ媒体が終了間近な現在 ノンリニア編集の普及と重要性が増しています。