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オーディオ ポン酢(音効さん業界用語)

AUDIO TECHNICAL

※テレビ業界そのものに方言が存在します。渋谷界隈、汐留・新橋界隈、赤坂界隈、六本木界隈、台場界隈などなど。

※世代(DAW以前・以後)によってポピュラーな言葉が変わってきます。また放送局内生放送(OA)とポスプロ(MA)など、作業形態により使われる用語の傾向が変わることがあります。


《あ~お》

アジ【あじ】
アジマスのこと。走行するテープに対するヘッドの角度。これがきちんと調整されていないと、正しい音質で再生されない。酷使される業務用のアナログテレコは録音機ごとに微妙にアジマスが違うため、基準信号を頼りに、六角レンチなどでヘッド角度を調整してやる必要があった。一昔前の音効さんはこれが出来てようやく半人前。


アタック【あたっく】
業界によって「何秒以上、以下」で呼称が変わることもあるものの、総じてきわめて短い音楽のことを指す言葉。ジングル、チェイサーといった別称もあるほか、「ME(エムイー、ミュージックエフェクト)」と括られることも多い。


頭【あたま】
素材、もしくはシーンの先頭部分を指す言葉。「音頭(おとあたま)」と言うこともよくある。
用例:「その曲の頭から使って」=曲のイントロから使って
「シーンの頭から流して」=そのシーンに入ったところから音楽をかけて


頭出し【あたまだし】
音頭を探り出すこと。また、いつでも出せるようにテープやレコードを音頭で待機させること。


アバン【あばん】
正しくは「アバンタイトル」。番組の冒頭やコーナー頭などに配置される、「つかみ」の部分。その後に展開される番組内容のおいしいところをフラッシュ的に紹介するもので、視聴者を惹きつけるという目的があることから派手さ・華やかさを求められる、音効的にも腕の見せ所である。


EQ【いーきゅー】
音の周波数帯域を任意に調整するエフェクター、「イコライザー」の略称。


EQ入れる【いーきゅーいれる】
イコライザーを用いて音色を加工すること。「EQかける」「EQかます」などもポピュラー。


イチケー(1kHz)【いちけー】
テープレコーダーの調整時や、機材の入出力レベル合わせの基準として用いられる、サイン波(正弦波)の信号。わかりやすいところでは、いわゆる「音消し」としてよくイメージされる「ピー」、これが1kHzである。ただし、現在ではテスト信号などとの混同を避けるため、音消しとしての「ピー」はあまり使われることはなくなった(かわりに”バキュン”や”チーン”などの効果音が使われることも)。


インスト【いんすと】
インストゥルメンタルの略で、「歌のない曲」の意味で使われることが多い。もしくはもともと歌の入っている曲を楽器のみで演奏したもの。主題歌のピアノバージョンやオルゴールバージョンといったアレンジは、ドラマの劇伴などでも定番。


歌もの【うたもの】
ボーカルの入った楽曲全般を指す。作品にもよるが映像のBGMはインスト(器楽曲)が中心となり、だからこそここぞという時にインパクトのある歌ものを付けられるかどうかは音効さんのセンスの見せどころ。ボーカルはインタビューやナレーションとぶつかり易いため扱いが難しいが、うまくはまったときはMAの現場でスタッフがホロリと涙することもあり、心の中でガッツポーズ。


打ち合わせ【うちあわせ】
音仕込みの作業に入る前に、ディレクター(演出)に音のテイストや付け所・方向性を確認すること。映像をフルでともに観ながらこまかく行うこともあれば、馴染みのスタッフ間では電話一本で済むこともありその形態はさまざまであるが、MAをスムーズに終えるためには欠くことのできない重要な工程。


SE【えすいー】
SOUND EFFECT。効果音を総称する言葉。また、渋谷界隈ではVTRに入った「収録音声」を指す場合もある。主にテロップや画面効果に付くもの、殴る・走るといったアクション、車や電車の音といったわかりやすいものを「SE」と呼ぶことが多く、背景音・環境音は「ノイズ」と呼ぶことが多い。


M【えむ】
音楽のこと。MUSICの略。「ここにエム下さい」と言われたら、「音楽を付けてくれ」ということ。


ME【えむいー】
MUSIC EFFECT。音楽的な効果音。アタック、ジングル等と同様に、「きわめて短い音楽」の意味で使われることも多い。また、お化け屋敷などで流れる「なんとも表現し難い心理的効果のある音楽」や、メロディがあるようでないような抽象的な音楽も、こう呼ばれることがある。


Mチェン【えむちぇん】
そこまで流れていた曲から、別の音楽に変えること。「Mチェンジ」の意。「のりかわり」も同じ意味。
用例:「ここからMチェンして下さい」=ここで別の曲に乗り換えて下さい


オケ【おけ】
一般的には「オーケストラ」の意味で使われるが、音効の場合は「カラオケ」の意味で使われることが多い。


押す【おす】
想定より時間がのびること、時間がかかっているようす。
対義語:巻き


オフ【おふ】
遠くで聞こえるような、輪郭のぼやけた小さな音。OFF。
用例:「その音、もっとオフっぽくなるかなあ?」


オン【おん】
近くで聞こえるような音レベル、輪郭のはっきりした音。ON。さらに大きい様子を「ドON(どおん)」と表すこともある。
用例:「そのSEはもっとドONで聞かせて」


音楽シーン【おんがくしーん】
ナレーションを入れず、映像と音楽のみで見せるシーンのことで、ネイチャーものやドキュメンタリーでしばしば見られる。そこそこの尺(時間)が用意されることも多く、音楽だけがフルボリュームで流れるため、そこにどのような音楽を充てるかは音効さんの腕の見せ所である。作品を象徴するボーカル入りの曲が使われることも多い。


オンレベル【おんれべる】
音楽や効果音が主役となるような場面で、最大音量で聞かせること。
対義語:BGレベル


《か~こ》

書き出し【かきだし】
音効が創意工夫を凝らした最終的な仕込みデータを、MAやクライアント側で扱うことのできる形式に変換すること。現在はOMF・AAFやWAVが一般的。「書き出す」とも言う。
用例:「いま書き出してるのでもう少々お待ち下さい」


稼ぐ【かせぐ】
レベルの低い音(小さい音)の音量を持ち上げること。そのまま「持ち上げる」とも言う。


硬い【かたい】
主に高音域が強調され、ともすると耳に痛い音。


硬くする【かたくする】
イコライザーなどで、音の高い周波数帯域を持ち上げる(強調する)こと。「ハイ上げ」とも言う。


片チャン【かたちゃん】
ステレオ両方をLとRからなる「両チャン」とした場合、「片チャン」はそれぞれの1チャンネルぶんを指す。テレコの機種によっては片チャンずつ個別に録音できるタイプもあり、モノラル運用の際には擬似的な2トラックレコーダーとしても使われた。DAWが普及しトラックが使い放題となった現在、廃れてしまった工夫である。


カットアウト【かっとあうと】
音がブチッと切る処理。流れていた音楽がギャグの直前でブツッと切れるなど、バラエティの笑い所で多用される手法。


カットイン【かっといん】
音がドンと出るさま。多くの場合、音楽のスタートは基本的にカットインである。カットインに対し、徐々に現れる「フェードイン」という入り方もある。


空リール【からりーる】
テープを格納する殻。まったくテープが巻かれていない、空のリールをこう呼んだ。

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擬音【ぎおん】
本物を収録した音ではなく、創意工夫によって「そう聞こえるよう」作られた音。かつての生放送ドラマや舞台において生音を使うのが難しかったり、芝居に合わせた「音の演技」が必要だったことから生み出された職人芸。小豆の波、お椀の馬、貝がらのカエルなどは有名ではないだろうか。また、「人を斬る音」など生音を録り得ない音も基本的には擬音となる。


キッカケ【きっかけ】
音のスタートの目印となるタイミングのこと。例えば「ナレーションキッカケ」と言った場合、あるナレーションを受けて音楽をポンと走らせることを意味する。

 

きっかけ出し【きっかけだし】
何かのキッカケに合わせて音(音楽、効果音)を出すこと。わかりやすいところでは「続いてはこちら!」→ジャジャン!など。「優勝は○○チーム!」→ファンファーレ、などもきっかけ出しである。


キュー【きゅー】
スタートのタイミングをはかるための合図。「CUE」と表記することもある。生放送などで音出しのタイミングが曖昧な場合に、ディレクターから出される「キュー」を合図とすることも多い。
用例:「このアタックのタイミングは現場でキューを出します」


キューイング【きゅーいんぐ】
早送り・巻き戻し中、摩擦熱から保護する為に、6ミリテープはヘッドから離れているが、6ミリテープに録音された任意の音頭を探すために、早送り・巻き戻し中のテープをヘッドに接触させることで出る「キュルキュルキュル」という音のこと。またその操作。


キュースタート【きゅーすたーと】
6ミリテープで音付けをしていた時代、機械による「キュー信号」でテレコを自動的にスタートさせることも可能だった。


切り貼り【きりばり】
6ミリテープ時代はまさにテープを切ったり貼ったりして編集していたが、その名残りでDAWが主力となった現在も、編集することを「切り貼りする」と表す。


クランパ【くらんぱ】
テレコにトーインチ(10インチ)のテープを固定するために用いる、特殊なアダプタ。正しくは「10号リールクランパ」。


黒【くろ】
加工やテロップなどすべての要素が入った完成映像。「MA前完パケ」とも呼ばれ、音処理を行う前の映像編集が終了したもの。作品のテンポやカラーを感じながら音仕込みができるため、黒をもらって作業することが理想的ではあるが、そうもいかない場合は加工前の「白」で作業にとりかかることも多々ある。個人差はあるものの音効さんは音を選ぶにあたって映像の繋ぎやテロップの色、速度など実にいろいろなものをヒントにしているため、黒をいただくことは重要かつありがたいことなのだ。
用例:「黒っていつ頃いただけますか?」


ケツ【けつ】
音効専門用語というわけではなく業界ではポピュラーな言葉で、「最後の部分」を示す。「音楽のケツ」と言ったら、「音楽の最後の部分」「完結部分」の意味。
用例:「音楽のケツを丸めて下さい」=音楽の最後をフェードアウトして下さい


ケツ合わせ【けつあわせ】
映像上のある特定のポイントに対して、曲が完結するよう調整していくこと。また、「作業の締め切り時間」に合わせて仕上げるというようなスケジュールの進行もこのように呼ぶことがある。
用例:「この音楽は、ここのシーンの変わり目までにケツ合わせして下さい」


ケツ決め【けつぎめ】
音楽の最後をフェードアウトではなく、完結するような形で編集すること。「ケツを決める」とも言う。


ケツ飛ばし【けつとばし】
音楽の最後をリバーブで飛ばすように処理すること。「ケツを飛ばす」も同じ意味。


ゴインチ【ごいんち】
7インチ、10インチと並ぶ、6ミリテープのサイズ。通常速度の19cm/sで15分の録音が可能。5号と呼ぶこともある。


《さ~そ》

サウンドロゴ【さうんどろご】
例えばCMなどで、企業や商品を象徴するように挿入される短い音楽のこと。「ジングル」と呼ばれることも多い。


差し替え【さしかえ】
ディレクターなどによる演出上の判断により、音効が付けた音を別のものに差し替えること。直し、リテイクとも言う。また、収録状態の良くない現場音を、後付けの効果音などによって修正することもこう呼ぶ。
用例1:「ここの音楽ちょっとイメージと違うので差し替えて下さい」
用例2:「ここの鳥の声イマイチなので、SEで差し替えお願いします」


サンパチ(38cm/s)【さんぱち】
放送用途などでは通常、6ミリテープは19cm/sで運用されることが多かったが、テープは倍速で使用することで記録面積が増え音質が向上することから、重要な素材を保管するマスターテープなどは倍速である38cm/sで使われていた。
用例:「これマスターにするからサンパチで録っといて」


サンプラー【さんぷらー】
もともとは音楽製作用の機材だが、テレコでは難しい瞬間的かつ連続した音出しを行う際など、放送の現場でも多用された。また、効果音などを「作る」場合にも活用された。現在はDAWの普及によって出番は少なくなった機材のひとつ。


仕込み【しこみ】
生放送やMAに向かう前に、必要な素材を求められた形で用意しておく作業。ある意味ではこれが音効の仕事において最も重要である。もちろん仕込んだものに対して「リテイク」が入ることもあるので、それをも想定した「仕込み」をしておくのがベストである。


下【した】
音関係の使い方では「音の低域」というような意味である。低域は迫力を出すためには欠かせない要素だが、再生環境によっては再現性がまちまち(聞こえにくい)であるうえ、いたずらにメーターを振らせてしまう要素でもあるため、「下」の処理はなかなか難しい。


下を切る【したをきる】
「ローカット」。低い周波数帯域をイコライザーなどを用いて削ること。近年の音楽は低音成分が過剰に含まれるが、そういった成分は聴感上で聞こえ難いもののレベルだけは振れてしまうため、切ることもしばしば。また自然の音にも低音が多く含まれるため、これらもカットすることがある。


尺合わせ【しゃくあわせ】
シーンの長さに合わせるため、任意・特定の秒数になるよう音楽を編集すること。


しゃくる【しゃくる】
瞬間的にフェーダーを上げる、急速なフェードインの1種。曲の途中を出だしにしたい場合などに使われた、フェーダーさばきの1種。新人は「しゃくり」の練習が欠かせなかった。今ではDAW上でいかようにもできるため、廃れていった「職人技」のひとつ。


ジュッケー(10kHz)【じゅっけー】
テープレコーダーの周波数特性や位相合わせの基準として用いられる、サイン波の信号。主に高音域が正しく記録・再生されているか、ヘッドの角度は正しいか、汚れていないかをチェックするのに用いられる。これらが万全でないと高域が正しく再生されないため、ハイ落ちしてしまう。


消磁【しょうじ】
6ミリテープには磁性体が塗布されているため、これを日常的に切っているハサミは磁気帯びしてしまう。そのまま使い続けていると切ったテープにノイズが混入する原因となるため、ハサミはこまめな消磁をする必要があった。そのための「消磁機」という専用の機械が常設されていたものである。また、テープそのものを消磁すると、記録されていた音が全て消去される。完全に内容を消去して安全に破棄したい場合に使われた。


白【しろ】
編集を経て、尺(長さ)が確定した映像のこと。テロップやCGは入ってないことが多く、加工もされていないため、まだこまかな効果音を付けることはできないものの、とりあえず音楽を当てることはできることから、時間がタイトな作業においてはいったん白で映像をもらい、作業を始めることが多い。


ジングル【じんぐる】
コーナー始めや場面変わりなどに挿入される、短い音楽。ほぼ同じ意味で使われる言葉に「アタック」や「ME」がある。


素【す】
無音を指す言葉。別の言い方では「ノンモン」や、そのものズバリの「無音」がある。「素」のところには基本的に音楽やSEを求められるが、狙いで素のままにする処理ももちろんある。
用例:「ここは緊張感を演出するため、あえて素にしましょう」


スクラッチ【すくらっち】
DJの世界ではレコード盤を擦るエフェクティブなパフォーマンスを指すことがほとんどだが、音効の場合これは単に、レコードを再生した際、盤面上のゴミやキズによって生じるプチプチという「スクラッチノイズ」を指す言葉。これをできるだけ除去するためにレコード盤面を水びたしにして再生したり、スクラッチ音が記録された6mmテープを1ミリ以下の単位で切り貼りするなど苦労は絶えなかった。現在ではDAW用のプラグインに自動でこれを除去するようなものもあるが、逆にアナログ感を出すためにあえてスクラッチノイズを除去しないという判断もある。デジタル時代ならではの「懐かしさ」「古くささ」の表現と言えよう。


スプライシングテープ【すぷらいしんぐてーぷ】
切った6ミリテープを繋ぎ合わせるための特殊な粘着テープ。テープ時代の音効さんの七つ道具に必ず含まれていた逸品。


スプライシングブロック【すぷらいしんぐぶろっく】
切った6ミリテープをまっすぐに繋ぐための、ガイドとなる金属製品。ミゾにテープをはめ込むことで、歪みのない貼り合わせができる。ただし、これがなくともまっすぐ正確に貼り合わせることが、一人前の音効さんの条件でもあった。なお、まっすぐ貼れていないとどうなるかと言うと、再生音が揺れたり音がこもったりしてしまう。

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スプライス【すぷらいす】
「切る」こと。テープを編集すること。


0VU【ぜろぶいゆう】
VUメーターがゼロを保つ音量。かつてテレビ番組制作における音量は、0VUに収まるように(VUメーターの針がゼロを越えないように)調整しなければならなかったが、ラウドネス値による規制が施行されてからマストではなくなった。


《た~と》

タイムストレッチ【たいむすとれっち】
音程を変えずに、速度だけを変える処理。テープでの「バリ」は速度とともに音程も変化してしまっていた。タイムストレッチはアナログ時代にはほぼ不可能な処理で、デジタル化後も初期は実用には程遠い精度であったが、現在はほぼ違和感のない処理が可能となり、DAWの基本機能にまでなっている。


ダウ【だう】
デジタル・オーディオ・ワークステーション = DAWのこと。当初は非常に高価な専用機で、24チャンネル録再で二千万円超えの機器も有ったが、現在ではコンビューターのソフトとなったものが主流となっており、近年のパソコンの高性能化によりノートパソコンでも動作する。これの普及によりテープを使用する機材が消えていった。


叩く【たたく】
「再生する」ことを指す言葉。また、コンプレッサーやリミッターでレベルを抑制することもこのように呼ぶことがある。


タンテ【たんて】
「ターンテーブル」の略で、レコードを再生するための機材の総称。中でもテレコなどと同様、コンソール型の据え置き機がこのように呼ばれていた。


タンテ出し【たんてだし】
今となってはなかなか信じられないが、かつての音効さんたちは生放送やMAの現場で、レコードから直接音を出していた。そのための必須スキルとして、音アタマを見るなどは当然として「レコードの溝を見て音楽の展開を読む」ことも朝メシ前だったというのだから驚きだ。溝の変化を見ればサビの位置や音楽緩急がわかったのである。


チビモニ【ちびもに】
デカモニに対して、よりテレビに近いバランスの確認のために使われる、小型のスピーカー。業界での代表的な機種として、Auratoneの5CやYAMAHAのNS-10Mなどがあった。単に「チビ」と呼ぶこともある。


著作権【ちょさくけん】
テレビ番組ではどのような音楽でも使用できるわけではなく、きちんと著作権処理的に問題のない音源を使用することが前提である。今日においては日々の業務の際、使用にあたり問題のない音源かどうかを調べることも、音効の役目であり責任となっている。


つなぐ【つなぐ】
音楽などを編集すること。


つまむ【つまむ】
音の特定区間を削除し、前後を繋ぎ合わせること。
用例:「この曲、間奏が長いから少しつまもうか」


デカモニ【でかもに】
MA室などでメインとして使われる、大型のスピーカー。細部の確認や、編集室のスピーカーやチビモニでは聴き逃してしまうレベルのノイズの発見も可能。その音量感と迫力に、クライアントから「ちょっとBGM大きすぎませんか?」と指摘されることもしばしばで、その際にはチビモニやテレモニに切り替えて聴いてもらい、納得していただく。


デシ(dB)【でし】
音量を表す単位「デシベル」の略。音効が使う際は多分に感覚的であることも多いが、現場では
「2デシ上げ」「3デシ下げ」のようなやり取りがよく飛び交う。


デルマ【でるま】
6ミリテープに音アタマや編集点などの目印を付ける特殊な筆記具。「DERMATOGRAPH」の先頭部分を「デルマ」と呼んでいたわけだが、正しくは「ダーマトグラフ」である。これもひと昔前の音効の必須アイテム。白色のデルマがポピュラーであったが、赤や黄色もある。もともとは医療の現場で皮膚などにマーキングするため使われていたもの。


テレコ【てれこ】
「テープレコーダー」の略で、主に6ミリテープを扱うものを指す。「テレコ」と総称することのほか、「デンオン」「スチューダー」「アンペックス」「オタリ」といったメーカーの名前で表すことも多かった。なお、業界的には「テレコ」には「逆に入れ替える」といった意味もあり(左右をテレコにして、など)、混同しないよう注意が必要。


テレモニ【てれもに】
テレビの内蔵スピーカーのこと。MAにおいては、実際にテレビのスピーカーで鳴らしてバランスを確認することも、しばしば行われる。


トーインチ【とーいんち】
6ミリテープのサイズの1種である、10インチ(10号)のこと。19cm/s走行時に60分の録音が可能。一般的なテレコにかけられるものとしては最大サイズであり、その自重ゆえ早送り・巻き戻し中の停止などにおいては操作に熟練を要する。


トリキリ【とりきり】
「オンレベル」と同様の意味で、ナレーションや本線を伴わない音楽や効果音だけを最大音量で聞かせること。「とりきる」とも言う。


ドンシャリ【どんしゃり】
音効用語というよりは音楽用語だが、低音がドンドン鳴り高音がシャリシャリいっているさまを表した言葉。一時期の音楽CDでは「目立つ」ため、またパッと聞きの迫力や明瞭感を上げるため、こぞってこのような仕上げが施されていた。
用例:「この曲ずいぶんドンシャリだなあ、ちょっとEQするか」


《な~の》

ナナインチ【なないんち】
6ミリテープのサイズの1種、7インチ(7号)のこと。通常の19cm/sでの使用で30分の録音が可能。


生【なま】
生放送のこと。また、生放送で音を出すことそのものを指す場合もある。
用例:「ここの音楽は生でお願いします」


生叩き【なまたたき】
生放送で音を出すこと。「再生ボタンを押す」動作を「叩く」と表現するのはテープレコーダー時代からの名残り。大きな再生ボタンをガチャリと押し込むさまは、「押す」よりまさに「叩く」という表現が相応しかった。


生付け【なまづけ】
生放送で音を出すこと。特にMAを行い完パケにするVTRと区別し、生放送での音出しで音楽を乗せる場合を指して使われる。「このVTRはMA、このVTRは生付け」という具合。もちろん生付けはそのまま放送に流れるので、失敗のできない一発本番。


ノイズ【のいず】
一般的には「雑音」の意味であるが、音効的には「背景音」「自然音」の意味で使われることが多い。例えば、聞かせるべきセリフの背景にある鳥の声や街の喧騒は「ノイズ」となる。「ノイズを足す」と言ったら背景音を加えること。もちろん「雑音」の意味で使うこともあるので、前後の会話からどちらの意味かを察するスキルも求められる。


ノンモン【のんもん】
無音のこと。音がない=変調されない=ノン・モジュレーション、から「ノンモン」という言葉が派生したのだとか。


《は~ほ》

ハサミを入れる【はさみをいれる】
昔は文字通りテープをハサミで切っていたことから、編集することを指してこう呼んだ。


バリ【ばり】
テープスピードを任意に変化して再生すること。「バリスピード」の意味。たいていのテレコにはそのためのツマミが装備されていた。バリを上げればスピードは早く、ピッチは高くなる。バリを下げれば、逆にスピードは遅く、ピッチは低くなる。秒単位の微調整にも使われ、往年の音効さんは「この長さの音なら○パーセントいじれば○秒」という感覚が身体に染み付いていたものだ。


針飛び【はりとび】
文字通りレコード再生中に針が飛んで、音が途切れること。誰かが不意にタンテにぶつかったりすると起こる。生放送中だったらと思うと恐ろしい話だが、昔の音効さんにとってこれにまつわる「笑い話」は定番である。


BGM【びいじいえむ】
バックグラウンドミュージック。背景音楽のこと。「BG」だけで表すこともある。


BGレベル【びいじいれべる】
セリフやナレーションのうしろで流れていても邪魔にならないよう、適切なレベルに抑えられた音楽や効果音のボリューム。
対義語:オンレベル


ピッチシフト【ぴっちしふと】
音(音程)の高低を変えること。テープ時代は「バリ」で行っていたが、同時に再生スピードも変わってしまっていた。速度を変えずに音程だけを変えることはアナログ時代には難しかったが、デジタル技術がこれを可能とした。今ではDAWの基本機能として備わっているほどである。なお、音の高低を変えずに速度だけを変える処理は「タイムストレッチ」である。


V音【ぶいおと】
後付けの音ではなく、VTR収録の際に映像とともに記録された現場音。「同録」とも呼ばれ、「同時録音」の意味である。あらゆる自然音はもちろん、インタビューなどの喋りも含む。「本線」と呼ぶこともあり、また渋谷界隈では「オリジナル」と呼ぶことも。


フェーダー【ふぇーだー】
音量を任意に上げ下げする装置。ミキサーの領域のようだが、音効も生放送においてはこれを操作し、BGMの音量などは自分で調整している。現在ではフェーダーというと縦型のスライドフェーダーが一般的であるが、アナログ時代の音効さんにとってはツマミ型の方が馴染み深いはずだ。これを握ってのボリュームコントロールこそが音効さんにとって感情を作品に注ぎ込む武器だったのだ。


フェードアウト【ふぇーどあうと】
完結形でなく、徐々に減衰して音楽が消えていくようす。さらにゆっくりと時間をかけ、じわじわと消えていくのは「スニークアウト」。「スニーク」とは、英語で「こっそり」の意。


フェードイン【ふぇーどいん】
音がスーッと、徐々に忍び込んでくるさま。さらに時間をかけてじわじわと入ることを「スニークイン」とも言う。


フォーリー【ふぉーりー】
足音、衣服の擦れる音、アクセサリーの音、はたまた食器の音などなど、人物の動作にともなって発生するあらゆる音を効果音の中でも特にフォーリーと呼ぶ。ハリウッド映画などは多言語に吹き替えるため、基本的に収録時の現場音は一切使用しないことから、全ての音が後付け。そのためフォーリー専門の職人がおり、画面と合わせながらひたすら動作音を付けていく。日本ではどちらかと言うとアニメやゲームなどの「同録音」のないコンテンツから広まっていった。


フルトラ【ふるとら】
テレビ放送の音声がモノラルの時代にポピュラーであった、モノラル専用のテープレコーダーの通称。ステレオのテレコを「2トラ(ツートラ)」とした場合、フルトラはヘッドに1トラックしかなく、ひとつのヘッドを1チャンネルに対してフルに使っていることからこう呼んだ。


ポン出し【ぽんだし】
「見てポンと出す」の意味で、文字通り見た感覚でポンと音を出すこと。そのまま「ミテポン」とも言う。また、ポンと叩けばすぐ音が鳴るという意味で、放送用の音送出用機材を「ポン出し機」と呼ぶこともあった。


《ま~も》

巻き 【まき】
想定より時間が早まること。また、「急ぐこと」を指す場合もある。
用例:「時間がないので作業を巻きでお願いします」


マルチ【まるち】
通常の6ミリ用テレコが主に2トラックステレオであるのに対し、多数のトラックを扱えるマルチトラックテープレコーダーのこと。MA室やレコーディングスタジオに設置された機材であり、昔は音効がこれを扱うことはまれだったが、DAWの普及により現在は特に意識しなくとも基本が「マルチ」となっている。


回す【まわす】
「録画・録音すること」を、業界では「回す」と言うことはよく知られているのではないだろうか。また、リハーサルでは「回さない」ことから「回す」と言ったら本番という意味も含まれている。


回る【まわる】
「回す」と似ているが「回る」と言った場合、ハウリングしていることを表す。出力された音が入力に混ざり込み、それがまた出力されて入力に、という様子がぐるぐる回っているようであることから。そのような音は最終的に「キーーーン!」という凄まじいものとなり、場合によっては機器にもダメージを与えてしまうので注意が必要。


モブ【もぶ】
MOVファイルのこと。かつてVHSやDVDなどで音効のもとに届けられた編集上がりの映像も、近年はこうしたファイルになってきている。


《ら~ろ》

リーダー【りーだー】
テープの冒頭や曲間の目印などに使われる、録音のできないテープ。6mmテープが茶・黒色であるのに対してリーダーはたいてい白いことから「白味」とも呼ばれた。これを挟んでおくことで、高速な早送り・巻き戻し中においても目的の場所がすぐ視認できる。


リテイク【りていく】
「直し」の意味。修正したうえでもう一度行うこと。「差し替え」とも言う。


リバース【りばーす】
逆再生のこと。


レベル【れべる】
音効の現場では「音量」の意味で使われることが多い。「レベルが大きい・小さい」、「レベルを上げる・下げる」など。


6mm【ろくみり】
磁気録音テープの1種。「ロクミリ」と呼び、かつての音効の主力武器であった。なお、ロクミリと呼ばれてはいたものの、正確には4分の1インチ = 6.35mmである。このことから、「1/4テープ」と呼ぶこともあった。必要な音をこれに録音し、ときには生放送で流したり、ときにはMA室で叩いたり、ロケ現場では現場音を収録したりと、あらゆる作業で使われた。


《わ~ん》

ワブ【わぶ】
WAVオーディオファイルのこと。正しくは「ウェーブ」だが、拡張子そのままの読み方が業界では定着している。「WAVで下さい」と言われたら、音をWAVファイルにして納品するということ。

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